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参画企業による各界の専門領域に関わる研究をご紹介!
最高のコンディションと、パフォーマンスを発揮するために必要なこととは!?

屋内も屋外も。仕事に「自然の要素」を加えて生まれるもの
“緑”のパワーでコミュニケーションに付加価値を

ポストコロナの時代の働き方として、定着したテレワーク。出社が基本であった旧来型の働き方が見直され、場所を固定しない柔軟な働き方には、従業員も企業ともに、多様なメリットがありました。
一方で、人と人が対面するオフィス空間と比較すると、テレワークにとってコミュニケーションは、課題の一つといえます。
そこで今回は、人と人が会って仕事を進めるオフィスに存在するグリーンに注目します。
まず在宅勤務において、オンライン会議の背景に取り入れた「植物」がもたらす効果について、アンケートを実施。自宅オフィスに、上手にグリーンを取り入れる方法を探りました。
また、さらに踏み込んで内から外へ――。屋外の「自然」の中での人と人のコミュニケーションの変化から、新しいワークスタイルの可能性に迫ります。

コミュニケーション効果あり。オンライン会議の背景の「グリーン」

アンケート実施にあたり、まず在宅勤務時の4つのオンライン会議のシーンを設定。その心象評価アンケートを行いました。


■アンケート結果


■フリーアンサー

  • 部屋に気を使っている雰囲気は出ている。見た目も明るくて、話のネタになりそう。
  • グリーンがない背景と比較すると、周りのことを考える余裕がある様に見える。
  • グリーンを背景にもってくるのはいいが、手前に置くのは邪魔な感じがする。
  • グリーン無しよりはあった方が良いが、量が多ければいいということではなく、アクセントとして上手く取り入れることが重要なのかなと思う。
  • グリーンには光が当たっている方が明るく快活に見える。
  • グリーンは明るい色合いのものが良いと思う。
  • 重要なのは表情から感じられる安心感やリラックス感、話しかけやすさだと思う。

今回、背景にグリーンを追加したことで「明るい感じになった」「好印象」といったコメントが集まりました。一方で「全体として重たい」「手前のグリーンが邪魔」「光環境や表情なども大事」といった声も。
そこで、FROM PLAYERSメンバー、ユニバーサル園芸社・目黒氏に、プロの視点から意見を伺いました。

オフィスに必要とされる観葉植物の影響力

目黒:実験の写真を見ると、背景のグリーンに影、手前のグリーンの色や存在感が気になります。ただ植物の選び方やバランスを取るだけで、自宅の仕事場も、より自分らしい空間作りができます。

実際、多くのオフィスや店舗が、プロによるグリーンのコーディネートを重要視し、需要も高まっています。同社がまとめたグリーンの効果は以下の通り。

  • 空気中の汚染物質を浄化
  • 室内湿度が上昇
  • マイナスイオン濃度上昇
  • 視覚疲労の緩和・回復
  • 酵素で脳が活性化

こうしたメリットはもちろん、多くのワーカーがグリーンの効用を実感しているからこそ、人と人が出会う会議室やエントランスなどを中心に、観葉植物が取り入れられているといえそうです。
ではオフィスと同様に、コミュニケーションの入り口として植物の効果を狙うには、どんなコツが必要なのでしょうか。実験のモニターに映り込むグリーンを参考に、具体的に教えてもらいました。

画面が映える、会話を生む。配置のコツとフェイクの活用

まず背景となる部分にグリーンを置く場合、奥行きや鉢の大きさなどの問題もあり、条件が揃わなければ、モニターに映り込ませることも難しいはずです。

目黒:後ろがすぐに壁というケースも多いですよね。ハンギングすればいいのですが、賃貸などでは、壁や天井に穴を開けるのは避けたい。それなら手軽に画びょうだけで配置できる、フェイクグリーンを使用してはどうでしょうか。汎用性も高く、自宅で活用するのにはお勧めです。

グリーンの効果を意識した場合「生の植物でなければならない」という先入観があると、なかなか気が付かない視点です。しかし実際同社が担当している企業のグリーンの約半分は、生の観葉植物とフェイクグリーンを併用、3割ほどがフェイクグリーンだけを利用しているといいます。

オフィスにおけるフェイクグリーンの導入事例

目黒:例えば苔などは和風で爽やかな演出ができますが、生だと1日3回水遣りをする必要があります。また寝室や書斎など、あまり日光が当たらない場所の観葉植物は、育てるのも大変です。生きた植物はベランダや世話のしやすい場所に置き、自宅のワーキングスペースには、フェイクグリーンを利用してみてはどうでしょう。

実は今回の実験で使用した画像の背景にあるグリーンは、フェイクグリーンを使用。しかしやや暗く、重たいイメージになってしまっています。ではフェイクグリーンの場合、どのような点に注意して取り入れるべきでしょうか。

目黒:フェイクグリーンは、葉の大きいものよりも、小さく細かいものが人気です。また流れる線になっていると、オシャレなムードになります。小さい葉や、細く流れるような枝葉の印象がいい理由は、光の透過性です。そこを考慮して光を当てれば、あまり影ができずに、周囲が暗くなりにくいです。

アンケートで出ていたフリーアンサーや目黒氏のアドバイスを踏まえ、後日改善したオンライン会議のシーンを撮影しました。

人と人をつなぐ。植物への「気配り」の意味とは

フェイクグリーンを上手に活用すれば、モニターに映る印象を明るく、話しやすい雰囲気にすることは、十分にできるといえそうです。ただ目黒氏は「本物の植物も取り入れてほしい」と話します。

目黒:たとえばデスク周りに、季節の花がある。これがアイスブレイクになることは、よくあります。また手前だと邪魔になる植物ですが、画面に映り込むようグリーンを置ける装置を、チームで今、楽しみながら作っています。そのとき目の前の植物の茎や、葉の造形から、発想を得ることも。こうした気づきは、クリエイティブな思考の仕事に、限ったことではないと思います。

さらに仕事場に生のグリーンを置くことは、コミュニケーションの質にも関係するといいます。

目黒:弊社では、植物を枯らしてしまうと、すごく怒られます。なぜなら「枯れさせない」=「気配り」だから。これは、コミュニケーションの本質ともいえる部分。植物は、忙しすぎて相手を思いやれないような状況にならないため、心の余裕を顕在化してくれるバロメーターと考えられるのではないでしょうか。

グリーンは、人とのつながりに、刺激や気づきを与えてくれるといえそうです。
尚、自宅緑化に興味が湧いた方はユニバーサル園芸社が運営するガーデンセンター「the Farm」へ。オンラインショップもあります。

http://the-farm.jp/

次に、屋外の自然の中での触れ合いが、コミュニケーションにどれほどの影響があるのかを探ります。

今まで以上に“つながり”が求められる時代に

ポストコロナ時代、未来の仕事場の一つとして、より自然を感じられる屋外に、大きな可能性があるといえるでしょうか。そこで、同じくFROM PLAYERSメンバーのスノーピークビジネスソリューションズ・藤本氏に、話を伺いました。

藤本:私自身、自宅の仕事では、家族との時間が増えました。しかし雑談や移動時間がないまま、会議だけが続いたりすると、メンタル的に厳しいときも。職場のように対面することで発想を得たり、思考をスムーズにリセットしたりする機会がなかったことが原因です。これからは、今まで以上に自然と人、人と人とのつながりが求められる時代になってくると実感しました。

たしかにテレワークで孤独や疲れを感じる原因は、コミュニケーション不足が考えられます。それを一気に補う、濃度の高いコミュニケーションを実現する方法として、藤本氏が提案してくれたのは、キャンプなどのアウトドア体験と会議を合体させることでした。

ちなみに「オートキャンプ白書2020」によれば、2019年の日本のキャンプ人口は860万人となり、国民全体の約7%。年々増加傾向にあるものの、約半数がキャンプを楽しむ米国に比べると、大きな開きがあります。

藤本:キャンプは先進国特有のものです。それは自然の力で、都市部で失われた人間性を回復できるからです。日本でも自然の中で感じる体験を、もっと多くの人にしてもらいたい。だからこそ、人間性を回復させるアウトドアの要素をビジネスの中に取り入れた、新しいワークスタイルに期待しています。

キャンプで変わる会話の濃度

ではワークスペースを屋外にする場合、どんな方法とメリットが考えられるのでしょうか。

藤本:豊かな自然が、人間が持つ本来の力を喚起する。そういう意味で、仕事におけるコミュニケーションの場として弊社が提供している、キャンピングオフィスが注目されています。メンバーが屋外にテントを建てて会議をするのですが、会話の質が高まり、肩書を超えて本音が言い合えたり、仲間意識が強くなるといった効果があるといえます。

また、一緒にテントを建てる・焚火を囲むといった体験の共有も、人と人とのつながりを向上させていると、藤本氏は話します。

藤本:屋外で一緒に作業することで、自然な会話が生まれやすくなります。また研修などのケースを見ていると、自然が与えるアクシデントがあったチームのほうが、団結力が高まっています。泊りの研修などでは、寝る場所や入浴はホテルにするなど、ハードルを低めにしたアウトドア体験からでも構いません。それでも焚火トークはぜひ試してほしいですね。お互いが言いたいことを伝えられ、良質な関係性が築けます。

スノーピークビジネスソリューションズが運営するキャンピングオフィス。
屋外、屋内とシーンごとに日本中で実施できます。

https://snowpeak-bs.co.jp/camping_office/outdoor

未来に向けて、新ワークスタイルの提案

モニター越しよりも、会って話せば、より深いコミュニケーションが築けるのは周知のこと。テレワークの仕組みが充実した今後は「会って、話す」という行為が、特別なことになっていくかもしれません。だからこそ価値のあるコミュニケーションとして、キャンピングオフィスなどの働き方に関心が高まっているといえそうです。

藤本:これまでの週5日のオフィス勤務が、週に2、3日はオフィスに勤務で、残りをリモートというケースや、週5日リモートなどといった業務形態も出てくるはずです。オフィスで顔を合わせる頻度が変化する中で、リアルなワークスペースでのコミュニケーションは、その濃度に着目されるようになっていく。そのことを意識したとき、ただ効率的に会って話しただけではなく、自然の中などで心地よく、深くつながれたということが、重要視されると考えます。

オフィスという場の必要性はこれからも変わらないはずです。加えて、足りなくなったコミュニケーションを補完するためにテレワークにも植物のパワーを活用し、さらに価値のある対話のために自然を感じる屋外へ出る。新しい働き方を考えるとき、緑を利用して高めるコミュニケーションは、未来への方策の一つではないでしょうか。

企業横断型プロジェクト「FROM PLAYERS」では、“いいはたらくとは何か?”をテーマに、研究、実践、支援、啓発などの活動を行っています。

  • 自社の働き方改革の課題を把握したい。
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目黒 秀憲

藤本 洋介