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自転車通勤のメリット、課題と対策

2020年1月下旬頃から世界中で蔓延している新型コロナウイルス感染症の影響で、現在、私たちは「新しい生活様式」への移行を模索しています。在宅勤務といった新しい働き方だけでなく、公共交通機関での移動リスクを考え、「自転車での通勤」が注目されつつあります。
実は以前から、自転車通勤は運動不足解消や爽快感を得られる手段の一つでした。普段電車やバスを利用しているオフィスワーカーが自転車通勤をするとどんな世界が広がり、どんな気持ちになるのでしょうか。
そこで、今回は自転車通勤のトライアルを実施。さらに、FROM PLAYERSメンバー(シマノ・イトーキ)とイトーキ自転車通勤トライアルメンバーによる座談会を開催。自転車通勤を試して分かったメリットと課題について語り合いました。

自転車通勤トライアル アンケート結果
ほぼ全員が「今後も自転車通勤を続けたい!」

今回のトライアルは、自転車での想定通勤時間が30~40分程度のメンバーで行いました。個人所有の自転車やシェアサイクルを利用。バスや電車を利用する通勤からどのように変わったのでしょうか。アンケートをとったところ、こんな結果が出ました。


■自転車通勤をしてみて良かった点は?
  • 「爽快感がある」
  • 「運動不足解消になる」
  • 「気持ちの切り替え」
  • 「ストレス解消」
  • 「普段の通勤経路と違う道を通るのは発見があり面白い」
■自転車通勤をしてみて悪かった・困った点は?
  • 「気温や天候により気分が左右される」
  • 「汗をかく(夏場)」
  • 「洋服に悩む」
  • 「安全面での心配がある」
■フリーアンサー
  • ・朝夕計60分の運動が自然とできるところ、運動をする為の時間ではない点が自分には合っていると思った。
  • ・都心部に近づくほど走りやすかった(自転車走行表示などがあり、道幅も広め)のが意外だった。
  • ・道に迷ったところをのぞけばすごく良かったので、道選びを工夫して続けたいと思う。
  • ・風景やお店など、電車通勤では知らなかった町の一面を通勤時間に感じる事が出来た。
  • ・帰りに寄り道しやすいので、できることの幅が広がった。

なお、ほとんどのメンバーが「今後も自転車通勤を続けたい」と回答しました。

自転車のプロが語る自転車通勤のメリット

阿部:色々なワークシーンの中で通勤は働く時間の前後に行うものです。したがって自転車通勤は、働き方そのものを変えるわけではありません。しかし上手に通勤時間を使って身体を動かすことで、仕事の効率を底上げすることにつながるのではないかと思っています。

以前は「身近で近い職場への便利な手段」というものでしたが、それが「時間の節約・通勤ラッシュ回避」へと変わっていき、今後は「通勤時間で積極的に心と身体のコンディショニングを整えるもの」になっていくのではないかと思っています。自転車通勤により、心のリフレッシュ、仕事のオンオフの切り替えといったものにつながるのではないかと提案しています。 ちなみに、アンケートを最近実施しまして、その時の自転車通勤のメリットについて抜粋してお話します。

自転車通勤を始めて1~3ヶ月、半年~1年、1~3年、3年以上と分けていますが、始めた時期によって意見に変化があるのが面白いです。 始めて1~3ヶ月以内の方達は、「健康の為」「電車のストレス回避」「コロナ対策」というのが多かったのですが、これが半年~1年続けている方になると、それ以外に「体力づくり」「ダイエット」身体を整える」という意味合いが強くなり、さらに継続年数が増えていくと「気持ち良い」「メンタル効果」といった回答が出てきて、最終的には「自転車がもっともはやく移動できる」という回答になっていきます。そして、年数を重ねていくにつれ、感じるメリットがより増えていっているようでした。

自転車通勤 制度導入に必要なこと

― よく歩道を通行する自転車を見かけますが、正しくはどこを走ればいいでしょうか?個人的には人通りの少ない裏道を走るのが楽しいです。

阿部:自転車は軽車両にあたりますので、基本は車道の左側走行が良いのではと思います。都内の大きな道路では自転車レーンのあるところが増えてきているので、通勤経路に自転車レーンがあれば、そこを走行するのが良いと思います。歩道は安全確保のために一時的に徐行して走行するのが認められています。ただし、街路樹やガードレールなどが邪魔になりドライバーから認識されにくいのが懸念点で、自転車が交差点で横断歩道から急に飛び出してきて・・・という事が起こり得ますので注意してください。 人通りの少ない裏道がクルマ通りも少ない道だとすると、確かに走りやすい反面、そこには信号機のない細い道(細街路)の交差点も存在すると思います。この細街路の交差点は特に事故が多い箇所になっていて、対クルマ以外にも対歩行者・自転車との出会い頭の事故リスクが上がるので気をつけましょう。またクルマ通りの少ない道以外にも、風景が気に入っているとか、お気に入りのパン屋さんがあるとかそういった別の側面も考慮すると良いかと思います。

― 雨の日でもリズムを変えたくないから自転車に乗りたいのですが、雨の日対策のポイントなどありますか?

阿部:会社で着替えられるかどうかが一番のポイントかなと思いますが、当たり前で申し訳ありませんが基本は合羽です。但し、防水透湿性の高いアウトドア仕様のものなど快適性が維持できるものが良いですよ。あと個人的には足元と目元は重要で、靴の中や目元に水が入らないように注意します。目元はサングラスに加えて、撥水性のあるスポーツキャップなどを被った上にヘルメットを装着すると、サングラスの隙間から雨が入らず視界がクリアです。自転車用のサイクルキャップもありますが、ランニング用のキャップでも十分です。あとはカバンも重要です。完全防水されているカバンにするかザックカバーを用いるといいですね。 雨の日でも自転車に乗りたい、という気持ちが大きいのでしたら、きちんと対策した上で積極的に雨の自転車通勤を楽しむというのも手です。小雨程度であれば、意外と気持ちよかったりもしますよ。

― 自転車にたまに乗りたいなと思った時に、通勤手当の問題が出そうだなと思うのですが。

阿部:普段は電車で通勤しているが、たまに自転車で通勤したいという事ですね。今後は自転車通勤を認める会社も増えてくるかと思いますが、その時に求められるのは「毎日自転車通勤でなくても良い」という考え方のもとに自転車通勤の制度を整えることが必要ではないかと思います。お天気や季節の問題もありますし、毎日自転車通勤はできないというのはごく自然な事と思います。

― 都心の企業や大企業では自転車通勤がみとめられないところも多いと思うのですが、自転車通勤を会社に導入するために何か良い方法はありますか?

阿部:そうですね、以前よりは自転車通勤を認める会社が増えるだろうと言いましたが、そうではない会社もまだまだある中では、これが一番難しいですね。会社として考えると交通費やもし会社で駐車場を借り上げているなどの場合は経費削減という効果はあるでしょう。しかしそれよりも大事なのは、自転車通勤をすることで頭がスッキリしたり、身体的にも健康を維持できたりすることは、仕事に対するモチベーションをあげ、そしてそれが生産性向上にもつながる可能性があることだと思います。そしてこれは健康経営の考え方としても重要なことだと考えます。 あとあるとすれば、トップの掛け声が大きいとやりやすいですよね。社長をサイクリングに連れ出して自転車の楽しさを知っていただくのはいかがですか?(笑)
 まずは体験。乗ってみてもらうというのはかなり大切で、自転車通勤の実施を支援する時は、必ず体験をセットにしていました。

― 僕自身はトライアルで自転車通勤を始めたばかりなのですが、長年実施されているシマノさんでの特徴的な事や面白い事例があれば教えてください。

阿部:シマノ(本社)では現在、約550名の社員が自転車通勤登録をしていて、本社勤務の4割を占めています。メリットは自転車通勤者は他の従業員と比較して健康診断の結果が良いということです。例えば通勤手段別のBMI値では、肥満と判定される25以上がもっとも少ないのが自転車通勤者です。また、彼らは医療費も比較的低いです。あと、よく中途採用の方に、「お腹が出ている人が少ないですね」と仰る方が多いと聞いています(笑) 課題は、やはり安全面でしょうか。事故の数としては決して多くないですが、やはりスピードの出しすぎには注意です。また安全確認も必須です。 ヘルメットを被ると通勤手当が増えるという制度があります。軽快車、いわゆるママチャリなどでは、ヘルメットを被る人は少ないかと思いますが、スポーツバイクに乗っている方はヘルメット利用が増えているのではないでしょうか。事故で亡くなる人の約6割は頭部の事故だといわれています。逆を言えば、しっかりと安全対策をすれば回避できるのではないかとも思います。装備以外にも、例えばスポーツバイクで走るときの注意点といったような、安全な自転車の乗り方についても本当は最初に習った方がいいのですが、大人になってからしっかり教えてもらう事がないですよね。

― コロナで在宅勤務をして、通勤は大事だったなと改めて思いました。会社で溜まったストレスのリセットが通勤時間だったなと感じています。仕事のON・OFFの切り替えは今後より重要になるでしょうね。僕は考えが煮詰まった時に自転車に乗ってみたのですが、自転車の負荷ってそういう時にちょうどいいんですよね。

阿部:4月の緊急事態宣言下で在宅勤務の時、私は朝、自転車で走りましたよ。これをやるのとやらないのとでは、仕事のスタートがかなり違っていました。社内でも同じように通勤代わりに朝、自転車に乗る人がいましたね。今後、在宅勤務が進むと職住融合になっていくので通勤する必要がなくなります。そうすると身体を動かすことの必要性とメリットはもっと増えると思います。最近自転車通勤を始めた方はぜひ今回をきっかけに自転車の楽しさに触れ、余暇時間のサイクリングも楽しんで頂きたいですね。余暇時間の充実は、平日の仕事のパフォーマンスにもきっと大きく影響すると思います。

― 自転車に乗ってみて、改めて東京の夜景は綺麗だなと思いました。よく子供は上ばかり見て大人は下ばかり見ているといいますが、自転車に乗ると少し先を見るので、自然と目線が上がり、気分が上向きますね。だから自転車に乗って良かったなと思っています。

阿部:自転車に乗ることの魅力やコツを「マインドスイッチ」というサイトでご紹介していますので、是非この機会にご覧ください。
海外ではコロナ禍の対策として、自転車通勤を積極的に推奨しようとする動きがあります。以前から通勤に自転車を購入するときの補助制度がある国もありましたが、今回は行政が予算を取って自転車通勤のための道路整備などを実施しています。先日の国交省からの発表では、東京23区内で今後17㎞くらい自転車レーンの整備をしていくとの話ですので、都内の方々はより走りやすくなるのではないかなと思います。

座談会を終えて…

座談会では他にも色々な意見や質問が出て、とても楽しく新しい気づきが沢山ありました。 ちなみに、自転車通勤をするには時間がかかりすぎてしまうような人はどうしたらいいのだろう?と思っていましたが、阿部さんから休日や在宅勤務時の仕事前の30分自転車活用というアドバイスをいただきました。いつも車で行っていた場所に自転車で行ってみる、子供と一緒にサイクリングを楽しんでみる、在宅勤務の日には、仕事前に走りに行ってみる、など。改めて自転車の有効活用法を知ることもできました。 そして今回はトライアルでしたが、今後もし制度として本格導入された時には、拠点移動などに是非活用して、都内でも爽快感を感じながら仕事の生産性を上げたいなと思いました。

企業横断型プロジェクト「FROM PLAYERS」では、“いいはたらくとは何か?”をテーマに、研究、実践、支援、啓発などの活動を行っています。

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阿部 竜士

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